携帯電話やスマートウォッチの普及により、歩数計を持っていなくても自分の歩数を確認できるようになりました。皆さんは、自分の1日の歩数を把握しているでしょうか。

令和元年の国民健康・栄養調査の結果において、1日の平均歩数は、男性6783歩、女性5832歩(20~64歳は男性7864歩、女性6685歩、65歳以上は、男性5396歩、女性4656歩)でした。ただし、コロナ前の調査なので、在宅勤務が増えている現在は、平均歩数が減っている可能性が高いでしょう。

都道府県別の平均歩数は、平成28年の国民健康・栄養調査結果を参考にしてください。

厚生労働省の歩数の平均値の表から(20~64歳、性・都道府県別、年齢調整値。熊本県を除く)
厚生労働省の歩数の平均値の表から(20~64歳、性・都道府県別、年齢調整値。熊本県を除く)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h28-houkoku-07.pdfから)

これを見ると、車通勤が主流と思われる地域は平均歩数が少ないことがわかります。

ウォーキングのメリットと適当な歩数

ウォーキングは酸素を体に取り入れながら行う有酸素運動で、障害が生じる危険度も少なく、老若男女問わずに行えます。長く続ければ続けるほど、基礎代謝の向上、ストレス解消、心臓が強くなるというメリットがあります。生活の質が高まり、睡眠の質も上がるとも言われています。

21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」における目標歩数は、20歳~64歳は男性9000歩、女性8500歩、65歳以上は男性7000歩、女性6000歩ですが、残念ながら実際は減少傾向です。現在、健康日本21は第三次改正(令和14年度目標)に向け検討されており、新たな歩数の目標値は20歳~64歳は男女とも8000歩、65歳以上は男女とも6000歩になる見通しです。

かつて「1日1万歩が良い」と言われましたが、頑張って長時間歩きすぎると膝などを痛めるリスクも伴います。 「1日8000歩以上の歩行が健康増進に効果がある」というデータは複数あり、実践するにも現実的な数値目標と言えるでしょう。

脂肪燃焼効果の高い有酸素運動に適した心拍数

ウォーキングにダイエット効果を求めている人も多いと思いますが、見合った結果は出ているでしょうか。

「毎日ウォーキングしているのに痩せない…」
「1万歩以上歩いているのに、お腹が凹まない…」

こういう方は、心拍数を意識して歩くことをおすすめします。ダイエットに効果的な心拍数は、「ちょっときつい」と感じる「最大心拍数×40~60%」です。スマートウォッチを持っている方は、心拍数を測定できるものや脂肪燃焼心拍数を表示してくれるものもあるので活用してください。

適切な心拍数や強度の範囲は、カルボーネン法と呼ばれる下記の計算式から求めることができます。

目標心拍数=(最大心拍数-安静時心拍数)×目標係数(%)+安静時心拍数

・最大心拍数は「220-年齢」で求めます(高齢者の場合は、「最大心拍数=207―(年齢×0.7)」の式を用いる場合もある)
・目標係数は40~60%とします。
・安静時心拍数は、脈を10秒取り、それを6倍するのが目安です。

例えば、40歳で安静時心拍数が70の場合、最大心拍数は「220-40=180」となるため、以下の式となります。

目標心拍数=(180-70)×(0.4~0.6)+70=114~136

どうせ歩くなら楽しく健康的に。ウォーキングを継続するための工夫の1つにしてください。

参考:
厚生労働省 国民健康・栄養調査
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html
健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/shinpaku.html

管理栄養士・今井久美